アイアンショットでプロのように芝が削れる「ターフ」に憧れる方は多いのではないでしょうか。練習場でいくら打っても、アイアンでターフが取れないと悩んでいる場合、その原因の多くはスイングが「払い打ち」になっていることにあります。払い打ち自体が悪いわけではありませんが、アイアン本来の性能を引き出すには、ボールの先の芝を削るダウンブローが欠かせません。
この記事では、アイアンでターフが取れない理由や、払い打ちから卒業して分厚いインパクトを手に入れるための具体的な方法を詳しく解説します。ボールをクリーンに捉え、飛距離と方向性を両立させるスイングのコツを掴んで、ゴルフの楽しさをさらに広げていきましょう。初心者の方でも分かりやすい言葉で、ステップバイステップで説明していきます。
アイアンでターフが取れない「払い打ち」の特徴とメリット・デメリット

アイアンショットにおいて、芝を薄く長く削り取るターフは、正しくボールを捉えている証拠の一つです。しかし、多くのアマチュアゴルファーが、芝をほとんど削らない「払い打ち」の状態になっています。まずは、払い打ちがどのような状態を指すのか、その基本的な特徴を確認しましょう。
払い打ち(レベルブロー)とはどんな打ち方?
払い打ちとは、スイングの軌道が地面に対して水平に近い状態でインパクトを迎える打ち方のことです。ゴルフ用語では「レベルブロー」とも呼ばれます。ほうきで地面を掃くような動きに似ているため、このように表現されます。アイアンにおいて、ヘッドがボールの手前から緩やかに降りてきて、ボールを捉えた後もすぐに上昇していく軌道が特徴です。
この打ち方では、芝を深く削ることがないため、インパクトの瞬間に土や根が飛び散るようなターフは取れません。ソール(クラブの底)が芝を滑るように動くため、大きなミスショットにはなりにくいという側面もありますが、アイアン本来の「上から叩く」力強さには欠ける傾向があります。現代の低重心なアイアンでは、この払い打ちでもある程度の飛距離は確保できるよう設計されています。
しかし、払い打ちが癖になっていると、少しでも打点がずれた時に「トップ」や「ダフリ」といったミスが出やすくなります。特に芝が薄い冬場や、ライが悪い状況では、正確にボールを捉える難易度が上がります。自分が意識的に払い打ちを選択しているのか、それともダウンブローに打てずに結果として払い打ちになっているのかを知ることが、上達への第一歩となります。
なぜアイアンでターフが取れないと悩むのか
アイアンでターフが取れないことに悩む理由の多くは、ショットに手応えを感じられない点にあります。払い打ちだと、インパクトの音が「カツッ」という乾いた音になりやすく、芯を食った時の重厚な打感が得られにくいのです。また、プロや上級者がアイアンで鋭くターフを飛ばす姿を見て、「自分もあんな風に打ちたい」と憧れを持つのは自然なことです。
物理的な側面で見ると、ターフが取れないスイングは、ロフト角(フェースの傾き)通りの高さしか出なかったり、バックスピン量が不足したりする原因になります。スピンが足りないと、グリーンにキャリーした後にボールが止まらず、奥へこぼれてしまうことが増えます。狙った場所にボールを止めるというアイアン本来の役割を果たすためには、適正なスピン量を生むダウンブローが必要なのです。
さらに、払い打ちの方はボールを「上げよう」とする意識が強すぎる傾向があります。すくい上げるような動きが加わると、最下点がボールの手前になってしまい、結果としてターフが取れません。このように、精神的な憧れと、スコアに直結する技術的な課題の両面から、多くのゴルファーがターフの取れるスイングを求めて試行錯誤を繰り返しています。
払い打ちが適している状況と注意点
実は、払い打ちが全面的に悪いわけではありません。例えば、フェアウェイウッドやユーティリティ、あるいはロフトの立っているロングアイアンなどは、払い打ちに近い感覚で打つ方がミスが少なくなる場合があります。また、地面が非常に硬いリンクスコースや、ティーアップしている状態のショットでは、レベルブローに打つことが正解となる場面も多いです。
しかし、ショートアイアンやミドルアイアンで払い打ちを続けていると、飛距離のコントロールが難しくなります。ダウンブローであれば、多少のラフでも芝を切り裂いてボールにコンタクトできますが、払い打ちだとボールとフェースの間に芝が挟まりやすく、フライヤー(飛距離が異常に伸びてしまう現象)が発生しやすくなります。これが大きなミスにつながるリスクとなるのです。
特に注意したいのは、自分の使っているアイアンの特性です。マッスルバックやハーフキャビティといった重心の高いアイアンを使っている場合、払い打ちではボールが十分に上がりません。道具の特性を活かすためにも、状況に応じた打ち分けができるようになるのが理想的です。まずは「なぜターフが取れないのか」という技術的な背景を理解し、自分の意思で打ち方をコントロールできる状態を目指しましょう。
払い打ち(レベルブロー)は、特定のクラブや状況では有効な手段ですが、アイアンの精度を高めるためにはダウンブローの習得が不可欠です。ターフが取れないことに焦るのではなく、まずは自分のスイングの軌道がどうなっているかを客観的に分析してみましょう。ビデオ撮影などでインパクト前後を確認するのも効果的です。
プロのようにターフが取れるダウンブローの仕組み

アイアンでターフを取るためには、まず「ダウンブロー」の仕組みを正しく理解する必要があります。ダウンブローとは、クラブヘッドがスイングの弧を描いて降りてくる途中でボールを捉える打ち方のことです。この動きができると、自然とボールの先の芝が削れるようになります。ここでは、その物理的な仕組みを解説します。
最下点がボールの先にある状態を作る
アイアンショットにおいて最も重要なのは、スイング軌道の「最下点」がどこにあるかです。ターフが取れるスイングでは、スイングの円弧の最も低い位置が、ボールの設置点よりも数センチから十センチほどターゲット方向(左側)に来ます。この状態を作ることで、ヘッドが地面に触れる前にボールを叩き、その後に地面を削り取ることができます。
逆に、払い打ちやダフリ気味の人は、最下点がボールの手前か、ちょうどボールの真下にあります。これでは芝を削る余裕がありません。ボールの先の芝を削るためには、ヘッドが「下降中」にインパクトを迎える必要があります。この「ダウン(下降)」の状態での「ブロー(打撃)」こそが、ターフを生み出す直接的な要因となります。
練習場などの人工芝では、マットの上を滑ってしまうため最下点の位置を把握しにくいですが、ボールのすぐ先に目印を置いて打つことで、自分の最下点がどこにあるかを意識できるようになります。この最下点のコントロールができるようになると、どんなライからでもクリーンにボールを打てるようになり、ショットの安定感が格段に向上します。
ハンドファーストがインパクトの質を変える
ダウンブローを実現するために欠かせないのが「ハンドファースト」の形です。インパクトの瞬間に、手元(グリップ)がボールよりもターゲット方向にある状態を指します。ハンドファーストで捉えることで、クラブヘッドは自然と上から下へと向かう軌道になり、ロフト角が立った状態でボールにコンタクトできます。
多くの初心者は、ボールを高く上げようとして、インパクトの瞬間に手首を甲側に折ってしまう「ハンドレイト」の状態になりがちです。これではヘッドが上昇軌道に入ってしまうため、払い打ちかトップにしかなりません。ハンドファーストをキープすることで、フェースの芯でボールを押し込むことができ、分厚いインパクトと美しいターフが生まれます。
ハンドファーストは、単に手を前に出すだけではなく、体の回転と連動している必要があります。手先だけで形を作ろうとすると、フェースが開いてスライスしたり、極端なシャンク(ネックに当たるミス)の原因になったりします。体全体でボールを押し込んでいく感覚を持つことが、質の高いハンドファーストを身につけるポイントです。
ロフト角を立てて当てる意識の重要性
アイアンにはそれぞれ固有のロフト角が設定されていますが、ダウンブローで打つ際は、この角度を「立てて」当てる意識が重要です。例えば、7番アイアンであれば、インパクト時には6番アイアンや5番アイアンに近い角度で当たることが理想的です。これにより、ボールに強い圧力が加わり、力強い弾道が生まれます。
ロフトを立てて当てることで、ボールはフェースの上を滑ることなく、しっかりと溝に食い込みます。これがバックスピンを生む源泉となります。ターフが取れない払い打ちの方は、ロフトを寝かせて(増やして)当ててしまうため、ボールに推進力が伝わりきらず、風に弱い「めくれる」ような球になりがちです。
ロフトを立てる意識を持つと、最初は「球が上がらなくなるのでは?」と不安に思うかもしれません。しかし、実際には適切なヘッドスピードとスピン量によって、ボールは十分な高さまで上昇し、さらにグリーンでピタリと止まる球になります。この「押す」感覚こそが、アイアンショットの醍醐味と言えるでしょう。
スピン量が増えてグリーンで止まる球になる
ダウンブローで正しく打てると、ボールにかかるバックスピン量が飛躍的に増加します。アイアンの溝がボールの表面を強く噛むことで、強い回転が発生するからです。ターフが取れるほどのダウンブローで打たれた球は、最高到達点から急角度で落下し、グリーンに落ちた瞬間にピタッと止まる、あるいは少し戻るような動きを見せます。
払い打ちの場合、スピン量が不安定なため、キャリーが同じでもラン(転がり)の距離がまちまちになり、ピンをデッドに狙うことが難しくなります。スコアアップを目指す上で、スピンコントロールは必須の技術です。プロが硬いグリーンでも平気でピンを攻められるのは、強烈なダウンブローによって十分なスピンを確保しているからです。
スピン量を増やすには、フェース面を清潔に保つことも大切ですが、何よりもスイング軌道が重要です。ボールの先の芝を削り取るイメージを持つことで、自然とスピンの入る打ち方が身についてきます。これができるようになると、アイアンの番手ごとの距離感が一定になり、コースマネジメントが格段に楽になります。
ダウンブローは、単に「上から叩く」ことではなく、「スイングの最下点がボールの先に来る」という幾何学的な現象です。この原理を理解した上で練習に取り組むと、上達のスピードが圧倒的に早くなります。
払い打ちになってしまう主な原因とチェックポイント

アイアンでターフが取れない、いわゆる払い打ちになってしまうのには、いくつかの明確な原因があります。自分のスイングに当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。これらの原因を解消するだけで、劇的にインパクトの形が変わる可能性があります。
アーリエクステンション(起き上がり)の影響
多くのゴルファーに見られるのが、ダウンスイングからインパクトにかけて体が起き上がってしまう「アーリエクステンション」です。前傾姿勢がキープできず、腰がボールの方に突き出てしまうため、手元が浮き、ヘッドが下から入らざるを得なくなります。その結果、ボールをすくい上げるような払い打ちになってしまいます。
体が起き上がると、クラブを振り下ろすスペースがなくなります。すると、人間は本能的に手首を解いてボールに当てようとします。これが後述するキャスティングにもつながります。前傾角度を保つことは、ダウンブローで打つための絶対条件です。インパクトが終わるまで、胸が地面を向いているような感覚を維持することが大切です。
この起き上がりを防ぐには、お尻の位置を意識するのが効果的です。スイング中に左のお尻が後ろに引けるように回転することで、前傾姿勢を崩さずにインパクトを迎えることができます。鏡を見ながら、インパクトの形をチェックし、自分が思っている以上に沈み込むような感覚を養うことが改善への近道です。
右足に体重が残る「明治の大砲」スイング
インパクトで体重が右足(右利きの場合)に残ってしまう、いわゆる「明治の大砲」と呼ばれる状態も、払い打ちの大きな原因です。体重が右に残ったままだと、スイングの最下点がボールの手前に来てしまいます。このままではダフってしまうため、手首を操作してボールだけを拾おうとし、払い打ちになってしまうのです。
ダウンブローを成功させるには、インパクトの瞬間に体重の7割から8割が左足に乗っている必要があります。左足にしっかりと軸を作ることで、スイングの弧が前方にずれ、ボールの先のターフを削ることが可能になります。「右から左へ」というスムーズな体重移動は、アイアンショットのキレを生むために不可欠な要素です。
体重移動が苦手な方は、切り返しの瞬間に左足の踏み込みを意識してみてください。また、フィニッシュで右足のつま先がしっかりと立ち、左足一本で立てるようになるまで振り切る練習も有効です。足元が安定し、重心が正しく移動するようになれば、自然とヘッドは上から降りてくるようになります。
手首が早くほどけるキャスティング現象
トップで作った手首のタメが、ダウンスイングの早い段階でほどけてしまう現象を「キャスティング」と呼びます。釣竿を投げるような動きに似ていることからそう呼ばれます。キャスティングが起こると、ヘッドが自分から遠い位置を通って降りてくるため、ボールに当たる頃にはヘッドが上昇を始めてしまいます。
キャスティングの原因は、「ボールを遠くに飛ばしたい」「ボールを当てたい」という意識から来る力みであることが多いです。手先でクラブを操作しようとすると、タメが維持できなくなります。理想は、グリップエンドが地面を指すように引き下ろされ、インパクトの直前まで手首の角度がキープされている状態です。
これを改善するには、腕の力を抜き、体の回転でクラブを運ぶ感覚を掴む必要があります。重いものを下に投げ下ろすようなイメージや、柔らかい棒を振るようなイメージを持つと、手首がほどけにくくなります。タメが維持できれば、ヘッドは加速しながらボールにコンタクトし、その勢いでボールの先の芝を深く削り取ることができます。
ボール位置が左に寄りすぎている可能性
技術的な問題以前に、アドレスでのボール位置が適切でないために払い打ちになっているケースも少なくありません。特にアイアンで球を上げたいという意識が強い人は、無意識のうちにボールを左足寄りに置きすぎる傾向があります。ボールが左にあると、ヘッドが最下点を過ぎて上昇に転じたところで当たるため、ターフは取れません。
アイアンの基本的なボール位置は、番手によりますが、ミドルアイアンであれば体の中心からやや左、ショートアイアンであれば体のほぼ中心が目安です。もしターフが取れなくて悩んでいるのであれば、思い切ってボールを通常よりボール1個分から2個分ほど右(中側)に置いてみてください。これだけで、強制的にダウンブローで当たる状況を作れます。
もちろん、極端に右に置きすぎると今度は打ち込みすぎてしまい、飛距離ロスやミスショットを招きます。自分にとって最もクリーンに、かつターフが取れる「最適なポジション」を探すことが重要です。アドレスはスイングの設計図です。ボール位置を見直すだけで、長年の悩みが解決することもしばしばあります。
ターフをしっかり取るための正しいスイングの基本

原因を把握した後は、いよいよ正しいスイングを身につけるフェーズに入ります。アイアンで気持ちよくターフを取るためには、体全体の連動性を高めることが重要です。ただ力任せに打ち込むのではなく、効率的で再現性の高い動きを目指しましょう。
左足へのスムーズな体重移動を意識する
ダウンブローの根幹を支えるのは、やはり「左足への体重移動」です。バックスイングで右足に乗せたパワーを、切り返しのタイミングで一気に左足へと移していきます。このとき、単に体を横にスライドさせるのではなく、左の股関節に乗り込むようなイメージを持つことが大切です。これにより、スイングの軸がしっかりと安定します。
体重移動がスムーズに行われると、上半身の突っ込みを防ぎながら、腕とクラブを低い位置に保つことができます。インパクトの瞬間に「左足で地面を強く踏む」意識を持つと、反力(地面からの跳ね返り)を利用できるようになり、ヘッドスピードも向上します。左足重心が確立されることで、クラブヘッドはボールの先の地面へと吸い込まれるように降りてきます。
体重移動を体感するためには、足を揃えた状態でバックスイングし、ダウンの瞬間に左足を一歩ターゲット方向に踏み出して打つ「ステップ打ち」という練習が非常に効果的です。この練習を繰り返すと、自然なタイミングでの移動が身につき、力みのない強力なインパクトが手に入ります。
体の回転を止めずに振り抜くコツ
ターフが取れない人の多くは、インパクトで体が止まってしまい、手先だけでボールをコントロールしようとしています。これではクラブの慣性力が活かされず、芝を削るエネルギーが生まれません。重要なのは、インパクトを通過点と考え、フィニッシュまで一気に体の回転を止めないことです。
特に「おへそ」の向きを意識しましょう。ダウンスイングからフォローにかけて、おへそが常にターゲットの方向を向くように回転し続けます。体が止まると腕が先行してしまい、しゃくり上げるような動き(払い打ち)になりますが、体が回り続ければ、腕とクラブは自然と低い位置をキープし、長いインパクトゾーンが作られます。
回転を止めないためのコツとして、左肩を背中側に引くような意識を持つことも有効です。左サイドの壁を意識しすぎて体が固まってしまうと逆効果になるため、積極的に左半身を解放してあげるイメージで振り抜きましょう。スムーズな回転は、結果として美しいターフと、安定した飛距離をもたらしてくれます。
前傾角度を維持してインパクトを迎える
前述の通り、起き上がりは払い打ちの最大の敵です。前傾角度を維持するためには、スイング中の「目線」と「お尻の高さ」を一定に保つことがポイントです。インパクトの瞬間に頭が上がったり、お尻が前に出たりすると、ボールとの距離が遠くなり、届かせるために手首を伸ばしてしまいます。
練習方法として、壁にお尻をつけた状態でシャドースイングを行い、スイング中にお尻が壁から離れないように意識するのが効果的です。また、顎(あご)の下に懐(ふところ)のスペースを保ち、ボールを覗き込むような姿勢をキープします。前傾がキープできていれば、クラブは設計された通りに地面を叩き、理想的な厚さのターフを削り取ることができます。
前傾角度を保つことは、体幹の強さも必要とされます。腹筋に軽く力を入れ、アドレスで作った上半身と下半身の角度をロックするような意識を持ちましょう。この姿勢が崩れないようになると、ショットの再現性が劇的に向上し、コースでも自信を持ってアイアンを振り抜けるようになります。
肩のラインとフェースの向きを整える
アドレス時の肩のラインがターゲットに対して開いていたり、閉じすぎたりしていると、スイング軌道が歪み、ダウンブローに打つのが難しくなります。肩のラインは飛球線と並行(スクエア)であることを常に確認してください。また、フェースの向きも重要で、最初から極端に被せたり開いたりしていると、インパクトで補正が必要になり、正しい軌道から外れてしまいます。
正しいセットアップができていると、無駄な動きを排除でき、効率よくボールに力を伝えることができます。アイアンでターフを取るためには、フェースをやや立てて入れる必要がありますが、これはあくまでスイングの結果として起こるべきものです。アドレスで最初からフェースを立てすぎると、引っ掛けなどのミスの原因になるので注意しましょう。
常に「スクエア」を基準にすることを忘れないでください。基本に忠実な構えから、正しい体重移動と回転が組み合わさることで、狙った通りのターフが取れるようになります。練習の合間には必ずスティックなどを使って、自分のアドレスがズレていないかセルフチェックする習慣をつけましょう。
| チェック項目 | 理想の状態 | 払い打ちの状態 |
|---|---|---|
| 体重配分(インパクト時) | 左足 7〜8割 | 右足に残っている |
| 手元の位置 | ハンドファースト | ハンドレイト(手元が後ろ) |
| 前傾角度 | 維持されている | 起き上がっている |
| 最下点 | ボールの先にある | ボールの手前にある |
自宅や練習場でできる!ダウンブロー習得ドリル

理屈を理解したら、次は体に覚え込ませるための練習です。ターフを取る感覚を養うための、具体的で効果の高いドリルをいくつか紹介します。これらをコツコツと続けることで、あなたのアイアンショットは劇的に進化します。
ボールの先に目印を置く「先打ちドリル」
スイングの最下点をボールの先に持ってくる感覚を養うのに最適なのが「先打ちドリル」です。練習場のマットの上で、打とうとしているボールの5〜10センチほどターゲット方向に、コインや目印となるテープ、あるいはもう一つのボール(打たないもの)を置きます。そして、「ボールを打った後に、その先の目印をヘッドで触れる」ようにスイングします。
払い打ちになっている人は、どうしてもボールに当てるだけで終わってしまい、先の目印までヘッドが届きません。このドリルでは、ボールを打つことを通過点と考え、その先にあるターゲットを打つ意識を持つことで、自然とハンドファーストのダウンブロー軌道が作られます。最初はゆっくりとしたスイングから始め、徐々にスピードを上げていきましょう。
この練習の素晴らしい点は、フィードバックが明確なことです。先の目印にヘッドが当たれば正解、当たらなければ最下点が手前にあるということです。視覚的にターゲットを設定することで、脳が自動的にその場所へヘッドを運ぼうと調整してくれるため、難しい理論を考えるよりも早く感覚を掴めることが多いです。
タオルを使ったインパクト改善練習
もう一つの有名なドリルは、タオルを使った練習です。ボールの手前(飛球線の反対側)15センチほどの位置に、二つ折りにしたタオルを敷きます。そのタオルを叩かないようにしてボールだけを打つ練習です。もし払い打ちやダフリの傾向があれば、ダウンスイングで必ずタオルを叩いてしまいます。
タオルを避けてボールにコンタクトしようとすると、必然的にヘッドを上から鋭角に入れる必要があります。これは、キャスティング(手首のほどけ)を防止し、タメを作って振り下ろす良い訓練になります。最初はプレッシャーを感じるかもしれませんが、この「上から入れる」感覚が分かれば、ターフを取るのは非常に簡単になります。
もしタオルを叩いてしまう場合は、かなり深刻な払い打ちかダフリの癖がついています。そのときは、ボールをさらに右に置くか、よりハーフスイングに近い形で、タオルに触れない最低限の軌道を体に染み込ませてください。慣れてくると、タオルがあっても全く気にならずにクリーンヒットできるようになります。
ハーフスイングで厚い当たりを体感する
フルスイングでは、どうしても動作が複雑になり、悪い癖が出やすくなります。そこで、腰から腰の高さまでの「ハーフスイング」で、徹底的に分厚いインパクトを練習しましょう。ハーフスイングであっても、正しくダウンブローに入れば「カツッ」ではなく「ドンッ」という重い音がし、人工芝のマットを叩く感触が手に伝わってきます。
ハーフスイングの利点は、体重移動とハンドファーストに集中できることです。大きく振りかぶらない分、手首の角度を維持しやすく、体の回転でボールを捉える感覚が研ぎ澄まされます。ハーフスイングでボールの先の芝(マット)をしっかり叩けるようになれば、フルスイングでも自然とターフが取れるようになります。
練習時間の半分をこのハーフスイングに充てるプロもいるほど、重要な練習です。飛距離は気にせず、いかに芯を食って、低い弾道で強い球が打てるかを追求してください。この練習を繰り返すことで、コースでプレッシャーがかかった場面でも、自信を持ってアイアンをコントロールできるようになります。
スローモーションスイングで動きを確認
自分の動きを詳細に把握するために、極端にゆっくり振る「スローモーションスイング」も有効です。1回のスイングに10秒から20秒かけるつもりで、自分の体がどのように動いているかを感じ取ります。トップからの切り返しで左足に体重が乗っているか、インパクトで手元が先行しているか、前傾が崩れていないかを一コマずつ確認します。
ゆっくり振ることで、今まで気づかなかった「手首が解ける瞬間」や「体が浮き上がる癖」が明確に分かります。脳に正しい動きを深く刷り込ませる効果があり、地味ですが非常に強力な練習方法です。「正しく動けている感覚」をスローで確認した後に、同じイメージで通常のスイングを行うと、驚くほどスムーズに振れるようになります。
自宅でも鏡を見ながら行えるため、毎日のルーティンにするのもおすすめです。スローでできない動きは、速いスイングの中では絶対にできません。まずは低速で完璧なフォームを作り上げ、それを少しずつ加速させていくプロセスが、理想のダウンブローへの最短距離となります。
ドリルを行う際は、最初から上手くやろうとせず、まずは「なぜその練習をするのか」という目的を意識してください。一つひとつのドリルが、ターフを取るためのパズルのピースのように組み合わさっていきます。焦らず、自分のペースで感覚を養っていきましょう。
アイアンでターフが取れない払い打ちを卒業してスコアアップを目指そう
アイアンでターフが取れないという悩みは、単に見栄えの問題ではなく、スイングの根本的な質に関わる重要なテーマです。払い打ち(レベルブロー)は決して間違いではありませんが、状況に応じた強い球や、グリーンで止まる球を打つためには、ダウンブローの習得が非常に大きな武器となります。最後に、この記事のポイントを振り返ってみましょう。
まず、アイアンでターフを出すためには、スイングの最下点を「ボールの先」に設定することが何よりも大切です。そのためには、インパクトでの左足重心とハンドファーストの形を徹底することが不可欠です。起き上がりや右足体重といった、払い打ちを招く主な原因を一つずつ排除していくことで、あなたのインパクトは驚くほど力強くなります。
また、練習場では「先打ちドリル」や「タオルを使った練習」などを通じて、視覚的・触覚的に正しい軌道を体に覚え込ませてください。最初は違和感があるかもしれませんが、ボールの先の芝を削り取る快感を一度味わえば、アイアンショットの概念がガラリと変わるはずです。払い打ちを卒業し、プロのような分厚い当たりを手に入れて、さらなるスコアアップとゴルフの楽しさを追求していきましょう。





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