ゴルフクラブ選びにおいて、アイアンのシャフト重量はスコアを左右する非常に重要な要素です。特に近年は技術の進化により、カーボンシャフトの性能が飛躍的に向上しています。かつては「カーボンは軽いか、シニア向け」というイメージもありましたが、現在はプロや上級者も使用する選択肢となっています。
その中でも、多くのゴルファーが悩むのが「60g台」と「70g台」の選択です。たった10gの差ですが、実際にスイングしてみると振り心地や弾道の安定感に大きな違いが生まれます。自分のパワーやスイングタイプに対して軽すぎるとミスが増え、重すぎると飛距離をロスする原因になります。
この記事では、アイアンのカーボンシャフトにおける60gと70gの違いを徹底的に掘り下げ、それぞれのメリット・デメリットや選ぶ際の基準を詳しく解説します。自分に最適な重量を見つけることで、スイングの再現性が高まり、スコアアップへの道が開けるはずです。ぜひ最後まで読み進めて、理想の1本を見つけてください。
アイアンのカーボンシャフト60gと70gの決定的な違いとは

アイアンのカーボンシャフトにおいて、60g台と70g台は「軽量級」と「中量級」の境界線と言える重要なラインです。この10gの差は、クラブ全体の「慣性モーメント」や「スイングバランス」に直接影響を与えます。まずは、この重量差がどのような物理的な変化をもたらすのかを理解しましょう。
クラブの総重量と振り抜きやすさの変化
アイアンのシャフトを60gから70gに変えると、クラブ1本あたりの総重量がそのまま約10g重くなります。ゴルフにおいて10gの差は非常に大きく、手に持った瞬間に「しっかり感」が伝わるレベルです。60g台は振り抜きやすさを最優先した重量設定であり、体力が平均的なアマチュアゴルファーでも最後まで振り切れる設計になっています。
対して70g台になると、適度な重みが加わることでスイング中にクラブの場所を感じやすくなります。重さがあることで、腕の力だけで振り回すことが難しくなり、自然と体全体を使った大きなスイングを促してくれる効果があります。軽快に振り切りたいのか、安定したリズムで振りたいのかが、この2つの重量帯を分ける大きなポイントです。
トルク(ねじれ)による操作性と安定感の差
一般的に、同じシリーズのシャフトであれば、重量が重くなるほど「トルク(ねじれ)」が小さくなる傾向があります。60g台のシャフトはトルクが比較的大きく設定されており、多少スイングが乱れてもシャフトがしなってタイミングを補正してくれる、いわゆる「オートマチックさ」が魅力です。球を捕まえやすく、右へのミスを軽減してくれるメリットがあります。
一方、70g台のシャフトはトルクが絞られていることが多く、ヘッドの無駄な動きを抑制してくれます。これにより、インパクトでのフェース向きが安定し、左右の散らばりが抑えられます。自分の意思で弾道をコントロールしたい人や、左へのミスを怖がらずに叩いていきたい人にとっては、70g台のしっかりした挙動が大きな武器になるでしょう。
インパクトの衝撃耐性と打球の強さ
シャフトの重量は、インパクトの瞬間の「当たり負け」にも影響します。70g台のシャフトは60g台に比べて肉厚に作られていることが多く、ボールに対してより強いエネルギーを伝えることが可能です。特にラフからのショットや、重いボール(競技用ボールなど)を打つ際には、シャフトの剛性が高い70g台の方が当たり負けせず、飛距離のロスを防げます。
60g台のシャフトは、シャフトのしなり戻りを利用してヘッドスピードを加速させることに長けています。ボールを高く上げる能力には優れていますが、強い向かい風の中やハードな条件下では、70g台に比べて弾道が吹け上がってしまうこともあります。パワーに自信がないけれど飛距離を伸ばしたいなら60g、風に負けない強い球を打ちたいなら70gという使い分けが基本です。
【ここがポイント!】60gと70gの性能比較表
| 比較項目 | 60g台カーボン | 70g台カーボン |
|---|---|---|
| 振り心地 | 軽快でスピードが出やすい | しっとりとして安定感がある |
| 主な目的 | ヘッドスピードアップ、高弾道 | 方向性の安定、ミート率向上 |
| 推奨ヘッドスピード | 36~40m/s程度 | 40~44m/s程度 |
| ミスへの寛容性 | スライスしにくい(捕まる) | 引っかけにくい(安定する) |
60g台のカーボンシャフトが向いている人の特徴

60g台のカーボンシャフトは、現代のアイアンセットにおいて「最も標準的で扱いやすい重量帯」とされています。多くのメーカーが純正カスタムとして採用しているのもこの付近です。では、どのようなゴルファーが60g台を選ぶことで、そのメリットを最大限に享受できるのでしょうか。
ヘッドスピードを上げて飛距離を伸ばしたい人
「最近アイアンの飛距離が落ちてきた」「もっと楽にパーオンさせたい」と考えている方には、60g台のシャフトが最適です。物理的に軽いシャフトは、スイング中の空気抵抗や慣性を減らすため、自然とヘッドスピードが向上します。特にドライバーのヘッドスピードが38m/s〜40m/s前後の方は、60g台を使うことで効率よくボールを飛ばせます。
また、カーボン特有の「しなり」が大きく感じられるため、タイミングが合わせやすくなるのも特徴です。インパクトでシャフトが鋭くしなり戻ることで、ロフト角以上にボールを高く上げてくれます。高さでボールを止めることができるようになるため、飛距離不足を感じている人にとっては強力な味方になります。
18ホールを楽にプレーしきりたい人
ゴルフは朝一番のティーショットから、最終ホールのパッティングまで集中力を維持しなければなりません。重いシャフトはスイングごとに筋肉へ負担をかけ、後半の疲れを招く原因になります。15番ホールを過ぎたあたりで急にミスショットが増えるという方は、現在のシャフトが重すぎる可能性があります。60g台のシャフトは、体への負担を最小限に抑えてくれます。
軽めのシャフトにすることで、最後までスイングのリズムを崩さずに振り切ることが可能になります。特にアマチュアゴルファーは、疲れからダフリやトップのミスが出やすいため、軽量な60g台を選択することでスコアの崩れを最小限に食い止めることができます。体力を温存しながらスマートに回りたいスタイルの方にマッチします。
女性やシニアでしっかり振れるタイプの人
一般的な女性用シャフト(30〜40g台)やシニア用シャフト(40〜50g台)では物足りなさを感じる方に、60g台は「ステップアップ」として最適な選択肢です。スポーツ経験があり、体格がしっかりしている女性ゴルファーや、かつてスチールシャフトを使用していた元気なシニアゴルファーにとって、60g台のカーボンは絶妙なバランスをもたらします。
軽すぎると手打ちになりやすく、スイングが不安定になりますが、60g台であれば適度な手応えを感じつつ、カーボンの恩恵である弾きの良さを体感できます。レディースモデルのアイアンが軽く感じて左に引っかけてしまうような場合、メンズ用の60g台シャフトを試してみると、驚くほど弾道が安定することがあります。
60g台のシャフトを選ぶ際は、あまりにも軟らかいフレックス(硬さ)を選ばないように注意しましょう。軽いシャフトは「しなり」が大きくなりやすいため、ある程度しっかりした「R」や「SR」を選ぶことで、軽さと安定感を両立できます。
70g台のカーボンシャフトが向いている人の特徴

70g台のカーボンシャフトは、中級者から上級者、あるいはパワーのあるゴルファーに選ばれる「攻めの重量帯」です。スチールシャフトからカーボンに移行したいけれど、軽くなりすぎるのが怖いという方の受け皿にもなっています。具体的な適性を見ていきましょう。
軽量スチールからの移行を検討している人
現在、日本で最も普及しているアイアンシャフトの一つが「N.S.PRO 950GH」などの90g台のスチールシャフトです。しかし、加齢や練習不足で「少し重いかな」と感じ始めた際、いきなり60g台のカーボンに落とすと、あまりの軽さにタイミングが合わなくなるケースが多々あります。そこで重宝するのが70g台のカーボンです。
70g台は、軽量スチールと超軽量カーボンのちょうど中間に位置し、重すぎず軽すぎない「絶妙な重量感」を提供します。スチールの安定感を残しつつ、カーボンの衝撃吸収性と高弾道を手に入れることができるため、違和感なく移行することが可能です。今のアイアンが少ししんどいけれど、軽快すぎるのは不安という方にとってのベストアンサーと言えます。
方向性の安定とミート率を重視したい人
ゴルフにおいて飛距離も大切ですが、アイアンに求められるのは「狙った場所へ運ぶ精度」です。70g台のシャフトは、スイング中のクラブの挙動が非常に安定します。自重がある程度あることで、スイングのトップからダウンにかけて「タメ」を作りやすく、シャフトが暴れないためインパクトが安定します。
特に「手が動きすぎてしまう」という悩みを持つ人にとって、70g台の適度な重みは手元を安定させる重しのような役割を果たします。ヘッドが描く円弧が一定になりやすいため、結果としてミート率が向上し、平均飛距離が伸びることも珍しくありません。曲がりを抑えて、安定した縦距離を打ち分けたいタイプの方におすすめです。
パワーがありスイングテンポが速めの人
身体能力が高く、スイングスピードが速い人が軽いシャフトを使うと、スイング中にシャフトがどこにあるか分からなくなったり、しなりが戻りきらずに右へ飛んだりすることがあります。70g台のシャフトは剛性が高く、クイックなテンポのスイングにもしっかりと付いてきてくれます。ガンガン叩いていける強さがあるのが魅力です。
また、筋肉量が多い方が軽いシャフトを使うと、どうしても腕の力だけで振れてしまうため、手打ちの悪癖がつきやすくなります。70g台であればクラブの重量を活用して振る感覚が養われるため、プロのような「体幹を使ったスイング」を維持しやすくなります。ヘッドスピードが42m/sを超えてくるような方は、70g台を検討する価値が十分にあります。
重量選びで失敗しないための重要なチェックポイント

60gか70gか、数字上のスペックだけで決めてしまうのは危険です。ゴルフショップで試打をする際や、新しいアイアンを購入する前に、必ず確認しておくべき3つのチェックポイントを紹介します。これらを押さえることで、「買ったけれど合わなかった」という後悔を防げます。
ドライバーのシャフト重量とのバランスを確認する
ゴルフクラブには「重量フロー」という考え方があります。これは短いクラブ(ウェッジやアイアン)ほど重く、長いクラブ(ドライバーやフェアウェイウッド)ほど軽くするというセッティングの原則です。もしドライバーに50g台のシャフトを挿しているなら、アイアンは60g台や70g台がバランスよく収まります。
逆に、ドライバーが40g台の超軽量モデルなのに、アイアンを70g台にしてしまうと、ドライバーからアイアンに持ち替えた時に重さのギャップが大きすぎてミスを誘発します。ドライバーの重量+10g~20gがアイアンのシャフト重量の目安と言われています。セッティング全体の流れを無視しないようにしましょう。
自分のスイングタイプ(テンポ)を自己分析する
同じヘッドスピードでも、ゆっくりと大きく振る人と、鋭く速いリズムで振る人では、合う重量が異なります。ゆっくり振るタイプの方は、シャフトのしなりを感じやすい60g台の方が、リズムを刻みやすく相性が良いことが多いです。シャフトが仕事をしてくれる感覚を得られやすいからです。
一方、切り返しのスピードが速い「ヒッタータイプ」の方は、60g台だとシャフトが頼りなく感じ、ボールをコンロールできなくなることがあります。この場合は、70g台のしっかりとした重量感があることで、切り返しのタイミングが取りやすくなります。自分のスイングが「ゆったり派」か「キビキビ派」かを意識して試打してみましょう。
実際に「5球連続」で打ってみて疲労感を見る
試打室で元気な状態の時に1、2球打っただけでは、そのシャフトの真の姿は見えてきません。特にアイアンはコースで何度も使うため、最低でも5球、できれば10球連続で打ってみることをおすすめします。70g台を打った時に、後半にかけてスイングが乱れてきたり、息が上がったりするようなら、コースではオーバースペックになる可能性が高いです。
逆に、60g台を打っていて「軽すぎてどこに当たっているか分からない」「当たるたびに手の感覚がバラバラ」という感覚があれば、それは軽すぎのサインです。「少し重いかな?」と感じるくらいが、実はコースでは安定することが多いのも事実ですが、あまりにも振り回されるようなら勇気を持って軽い方を選びましょう。
アイアンの番手によっても感覚は変わります。7番アイアンだけでなく、ロングアイアン(5番や6番)でも同じように振れるかどうかを確認するのが、重量選びで失敗しないための秘訣です。
カーボンシャフトの進化と現代の重量帯の傾向

かつてのカーボンシャフトは「軽くて軟らかい」のが当たり前でしたが、現在はその常識が大きく変わっています。素材技術(高弾性カーボンやボロンなど)の進歩により、スチールシャフトを凌駕する性能を持つモデルも増えています。最新のトレンドを知ることで、60g・70gの選び方も変わってきます。
「軽硬(かるかた)」という新しい選択肢の登場
最近のトレンドとして、重量は軽い(60g台)けれど、シャフト全体の剛性を高めて「硬く」仕上げたシャフトが増えています。これにより、「重いのはしんどいけれど、しっかり叩きたい」というゴルファーの要望に応えられるようになりました。60g台でも、プロモデルのようにしっかりとした挙動を見せるシャフトが存在します。
このため、単に「60g=初級者」「70g=中級者」と一概に決めつけることはできなくなっています。自分が求めるのは「重量による安定感(70g)」なのか、「軽さによるスピード(60g)」なのかを明確にすることが重要です。素材の進化により、軽量シャフトでも当たり負けしないモデルが増えている点は、現代のシャフト選びにおける大きなポイントです。
スチールシャフトからカーボンへの「重量ダウン」が主流に
プロゴルフ界でも、アイアンにカーボンシャフトを採用する選手が増えています。彼らの多くは100g以上のスチールから80〜90g台のカーボンに移行していますが、アマチュアの世界でも同様の現象が起きています。これまで90g台のスチールを使っていた人が、一気に20g以上落として70g台のカーボンにするケースが非常に多いのです。
これは、単に楽をするためではなく、カーボン特有の「ボールを上げる力」や「ミスショット時の手に伝わる衝撃の少なさ」が評価されているためです。70g台のカーボンは、もはや特殊な存在ではなく、多くのゴルファーにとっての「標準的な重さ」になりつつあります。このトレンドに合わせて、各メーカーのラインナップも非常に充実しています。
高精度な製造技術による個体差の解消
昔のカーボンシャフトは重量や硬さにバラつきがあると言われていましたが、現在は製造技術が極めて高く、スチールシャフト以上に精密な設計が可能になっています。そのため、60g台や70g台という重量設定も、番手ごとに最適な重さに配分された「番手別設計」が当たり前になっています。
ショートアイアンは重めに、ロングアイアンは少し軽めにして振りやすさを追求するなど、カーボンならではの緻密な設計が施されています。このため、60g台や70g台といった重量帯を選ぶ際も、セット全体での繋がりが非常にスムーズになっています。信頼できるメーカーのシャフトであれば、重量誤差を気にすることなく、純粋に自分のフィーリングに合う方を選べる時代です。
最新カーボンシャフトの代表的なモデル例
・フジクラ「MCI」シリーズ:金属管を複合し、スチールの操作性とカーボンの飛距離を両立。
・グラファイトデザイン「Tour AD」アイアン:プロも納得の剛性感と安定した弾道が特徴。
・三菱ケミカル「OT iron」シリーズ:カーボン繊維を組み紐のように編み上げ、滑らかなしなりを実現。
アイアンのカーボンシャフト60gと70gの違いを活かすセッティング
アイアンのカーボンシャフトにおける60gと70gの違いを理解し、自分に合った重量を選ぶことは、ゴルフをより楽しく、そしてスコアを安定させるための大きな一歩です。最後に、今回の重要ポイントを振り返りましょう。
まず、60g台のシャフトは「飛距離と振りやすさ」に優れた重量帯です。ヘッドスピードを最大化したい方、高い弾道でボールを止めたい方、そして最後まで体力を温存してプレーしたい方に最適です。多くの平均的アマチュアゴルファーにとって、最も恩恵を受けやすい「やさしい」選択肢と言えるでしょう。
一方、70g台のシャフトは「安定感とコントロール性」を重視した重量帯です。スチールシャフトに近い安心感がありながら、カーボンの弾きの良さも兼ね備えています。軽量スチールからの移行を考えている方や、スイングが早めでしっかり叩いていきたいパワーのある方にマッチします。
どちらの重量を選ぶにせよ、大切なのは「ドライバーとの重量バランス」と「コースでの再現性」です。試打室での最高の一発ではなく、コースで疲れている時にでも同じように振れる重さを選ぶことが、結果として良いスコアに繋がります。この記事を参考に、あなたのゴルフライフを支える最高のパートナー(シャフト)を見つけてください。





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