ゴルフを始めたばかりの方が、コースに出て最初に立つ場所、それが「ティーイングエリア」です。各ホールのスタート地点となるこのエリアには、実は細かなルールや知っておくべきマナーが存在します。
この記事では、ゴルフ初心者の方でも安心してコースデビューができるように、ティーイングエリアの基本的な知識から、ペナルティを避けるためのルール、同伴者に配慮したマナーまで、やさしく丁寧に解説していきます。
ティーイングエリアを正しく理解することは、スムーズなプレーとスコアアップへの第一歩です。この記事を読んで、自信を持ってティーショットに臨みましょう!
ティーイングエリアとは?ゴルフのスタート地点を徹底解説
すべてのホールの始まりとなるティーイングエリア。まずは、このエリアが具体的にどの範囲を指すのか、そして似たような言葉との違いなど、基本的な知識をしっかりと押さえておきましょう。
ティーイングエリアの正確な範囲
ティーイングエリアとは、各ホールで第1打目(ティーショット)を打つために定められた区域のことです。 このエリアは、ただ漠然と決められているわけではなく、ルールによって明確な範囲が定義されています。
まず、左右の幅は、2つのティーマーカーの外側を結んだ線までと決められています。 そして奥行きは、そのティーマーカーの前端を結んだ線から、後方に2クラブレングス以内の長方形の区域となります。
ティーショットを打つ際は、必ずこの四角形の範囲内にボール全体が収まるようにティーアップする必要があります。 もし、この範囲からボールが少しでもはみ出して打ってしまうと、「誤所からのプレー」とみなされ、2打罰のペナルティが課せられますので注意が必要です。 ちなみに、ボールがエリア内にあれば、プレーヤーの足(スタンス)がエリアの外にはみ出していても問題ありません。
「ティーグラウンド」との違いは?
ゴルフに慣れ親しんだ方ほど、「ティーグラウンド」という言葉をよく使うかもしれません。実は、「ティーイングエリア」と「ティーグラウンド」は同じ場所を指しています。
以前は「ティーインググラウンド」という名称が正式でしたが、2019年の大幅なルール改正により、正式名称が「ティーイングエリア」に変更されました。 ほかにも、「ウォーターハザード」が「ペナルティエリア」に変わるなど、いくつかの用語がより分かりやすく、世界共通で理解しやすいように変更されています。
現在でも会話の中では「ティーグラウンド」という言葉が使われることも多く、もちろん意味は通じます。しかし、公式なルール用語としては「ティーイングエリア」が正しいということを覚えておくと良いでしょう。 また、海外では「ティーボックス(Tee Box)」と呼ばれることもあります。
2019年のルール改正は、プレー時間の短縮やゴルフの普及を目的として、よりシンプルで分かりやすいルールを目指して行われました。 初心者にとってもプレーしやすくなるような変更点が多く含まれています。
ホールナンバーやヤード表示の見方
ティーイングエリアには、プレーに必要な情報を示すサインボードが設置されています。ゴルフをスムーズに進めるために、これらの情報の見方を理解しておきましょう。
通常、サインボードには以下の情報が記載されています。
- ホールナンバー:今プレーしているのが何番目のホールかを示します。(例:「No. 10」)
- ヤード表示:各ティーマーカーからグリーン中央までの距離を示します。通常、使用するティーマーカーの色ごとにヤード数が書かれています。(例:Blue: 410yd, White: 380yd, Red: 320yd)
- PAR(パー):そのホールを何打で終えるのが基準かを示す数字です。(例:「PAR 4」)パーは、ティーショットを含めて規定打数でカップインすることを目指す目標スコアです。
- ハンディキャップ(HDCP):コース全体の18ホールの中での、そのホールの難易度を示します。数字が小さいほど難易度が高いホールとされています。(例:「HDCP 1」が最も難しいホール)
- コースレイアウト図:ホールの形状、バンカーや池(ペナルティエリア)の位置、OBゾーンなどが描かれた地図です。これにより、どのような戦略で攻めるかを考えることができます。
これらの情報をティーショットを打つ前に確認することで、クラブ選択や狙いどころを定めるのに役立ちます。特に、ハザードの位置を把握しておくことは、大叩きを防ぐために非常に重要です。
ティーイングエリアの基本ルール!ペナルティを避けるための知識

ティーイングエリアには、知らずに破ってしまうとペナルティ(罰打)が科せられる重要なルールがいくつかあります。スコアに直接影響するため、しっかりと理解しておきましょう。
正しいティーアップの位置は?
ティーショットを打つ際のボールの位置は、厳密に定められています。前述の通り、ティーイングエリアは左右のティーマーカーの外側を結んだ線と、そこから後方2クラブレングスまでの長方形の区域です。
ティーアップの際の注意点
- ボールは必ずティーイングエリアの範囲内に置かなければなりません。
- ティーマーカーを結んだ線より前にボールが出てしまう、いわゆる「でべそ」の状態で打つと、2打罰のペナルティとなります。
- ボールの一部でもエリア内にあればルール上は問題ありませんが、完全にエリア内に入れるのが確実です。
- 一方で、2クラブレングスより後ろに下がって打つのもルール違反です。
どこにティーアップするかはプレーヤーが自由に選べます。 例えば、右に曲げたくない場合はエリアの右側に、左に曲げたくない場合は左側にティーアップするなど、ホールの特性や自分の持ち球に合わせて最適な場所を見つけるのも、ゴルフの戦略の一つです。 ティーショットを打つ前に、地面をならしてライ(ボール周辺の状態)を改善することはペナルティにはなりません。
ティーマーカーの外から打った場合のペナルティ
もし、定められたティーイングエリアの外からティーショットを打ってしまった場合、それは「誤所からのプレー」というルール違反になります。
この場合のペナルティは2打罰です。 そして、ペナルティを受けた上で、正しいティーイングエリア内から打ち直さなければなりません。 誤って打った1打はカウントされず、打ち直しは3打目としてプレーを再開することになります。
例えば、本来は白いティーマーカー(レギュラーティー)から打つべきところを、誤って前の組が使っていた赤いティーマーカー(レディースティー)から打ってしまった場合も同様です。 この場合も2打罰を加え、正しい白いティーマーカーのあるティーイングエリアから3打目として打ち直す必要があります。 もし打ち直さずにそのままプレーを続け、次のホールでティーショットを打ってしまうと「失格」という非常に重い罰則が科せられるため、必ず正しい処置を行いましょう。
ティーショットのやり直し(暫定球)について
ティーショットがOB(アウトオブバウンズ)や、ロストボールになる可能性がある場合、プレー時間を短縮するために「暫定球(ざんていきゅう)」を打つことが推奨されます。
OBとは、プレーができない区域のことで、通常は白い杭で示されています。 ティーショットがOBになった場合、1打罰を加えて、同じティーイングエリアから3打目として打ち直すのが基本的なルールです。
ボールがOBかどうか際どい場合、ボールを探しに行ってからティーイングエリアに戻って打ち直すと、大幅に時間をロスしてしまいます。そこで、同伴者に「暫定球を打ちます」と宣言してから、もう一度打っておくのです。もし最初のボールが見つかり、OBではなかった場合は暫定球を回収し、最初のボールでプレーを続行します。最初のボールがOBだったり見つからなかった場合は、暫定球でプレーを続けます。
プレーの線を示すものを置いてはいけない
ティーショットの方向性を定めるために、目標方向を示すような物を地面に置くことはルールで禁止されています。
例えば、クラブを地面に置いてスパイクの向きを合わせたり、目印としてティーペグを置いたりする行為がこれに該当します。これらは「プレーの線」を示したとみなされ、ペナルティの対象となります。
ただし、自分の体の一部(足の向きなど)やクラブ自体を使って方向を確認することは問題ありません。あくまで、スタンスを取る助けとなるような人工物を地面に置くことが禁止されています。
使用するティーにも規定があり、長さは4インチ(101.6mm)以下でなければなりません。 また、ボールの動きに影響を与えたり、プレーの方向を示したりする機能を持つ特殊な形状のティーは使用できず、違反するとペナルティが科せられます。
種類は?ティーマーカーの色が示す意味
ティーイングエリアには、様々な色のティーマーカーが設置されています。この色は、ゴルファーのレベルや飛距離に応じてプレーする場所を示すためのものです。 自分に合ったティーを選ぶことで、誰もが公平にゴルフを楽しめるようになっています。 ここでは、一般的なティーマーカーの色の意味について解説します。
| 色 | 通称 | 主な対象者 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 黒 (Black) | チャンピオンティー / フルバックティー | プロ、トップアマチュア | 最も距離が長い最上級者向け。 |
| 青 (Blue) | バックティー | 上級者、研修生 | 2番目に距離が長い。使用には申請が必要な場合も。 |
| 白 (White) | レギュラーティー / フロントティー | 一般男性アマチュア | 最も多くのゴルファーが使用する標準的なティー。 |
| 金 (Gold) / 銀 (Silver) | シニアティー / ゴールドティー | シニアゴルファー | レギュラーティーより前方に設置。年齢制限はない。 |
| 赤 (Red) | レディースティー | 女性、初心者、ジュニア | 最も距離が短いティー。 |
黒(ブラックティー):プロ・上級者向け
黒のティーマーカーは、「チャンピオンティー」や「フルバックティー」とも呼ばれ、そのゴルフコースで設定されている中で最も長い距離を持つティーです。
主にプロのトーナメントや、トップレベルのアマチュア競技で使用されます。 非常に高い飛距離と正確性が求められるため、一般的なアマチュアゴルファーが使用することはほとんどありません。ゴルフ場のメンバーであったり、ハンディキャップが非常に低いプレーヤーでないと使用許可が下りないことが大半です。まさに、そのコースの真の難易度を体験できる、挑戦者のためのティーと言えるでしょう。
青(ブルーティー):上級者・中級者向け
青のティーマーカーは、「バックティー」と呼ばれ、黒の次に距離が長い設定です。
主にゴルフ場のクラブ選手権などの公式競技や、研修生、飛距離に自信のある上級者が使用します。 レギュラーティーよりも各ホールが数十ヤード長くなるため、より戦略的なコースマネジメントが要求されます。ビジターが使用する際には、事前にゴルフ場への申請や、ハンディキャップの証明が必要になる場合があります。 自分の腕試しをしたいゴルファーが挑戦するティーです。
白(ホワイトティー):一般アマチュア男性向け(レギュラーティー)
白のティーマーカーは、「レギュラーティー」や「フロントティー」と呼ばれ、最も多くのゴルファーが使用する、最も標準的なティーです。
一般的な男性アマチュアゴルファーは、この白いティーからプレーします。 コース設計者が、アマチュアゴルファーが楽しめるように戦略性と難易度のバランスを考えて設定した距離です。プライベートなラウンドでは、ほとんどの場合このティーを使用することになります。飛距離に自信のある女性が使用することもあります。
金(ゴールドティー):シニア向け
金(ゴールド)や銀(シルバー)のティーマーカーは、「シニアティー」や「ゴールドティー」と呼ばれ、主にシニアゴルファー向けに設置されています。
レギュラーティーよりも前方にあり、年齢によって飛距離が落ちてきたゴルファーでも無理なく楽しめるように配慮されています。 「何歳から」という厳密な決まりはなく、自己申告で使用することができます。 体力に合わせてティーを選ぶことで、年齢に関わらず長くゴルフを楽しむことができます。
赤(レッドティー):女性・初心者向け(レディースティー)
赤のティーマーカーは、「レディースティー」と呼ばれ、基本的には女性が使用するティーです。
最もグリーンに近い位置に設定されており、距離が一番短くなっています。 これにより、パワーに自信がない女性でも、パーオン(規定打数でグリーンに乗せること)を狙いやすくなっています。また、ゴルフを始めたばかりの男性やジュニアゴルファーが、コースに慣れるためにこのティーからプレーすることも推奨されます。
覚えておきたいティーイングエリアでのマナー
ティーイングエリアは、その組のプレーが始まる神聖な場所です。お互いが気持ちよくプレーするために、ルールだけでなく、同伴者への配慮、つまりマナーを守ることが非常に大切です。
プレーの順番(オナー)を守る
各ホールで最初にティーショットを打つ人のことを「オナー(Honor)」と呼び、これは名誉なこととされています。
スタートホール(1番ホールや10番ホール)の打順は、くじ引きやじゃんけんで決めるのが一般的です。 2ホール目以降は、前のホールで最もスコアが良かった人(少ない打数で上がった人)から順番に打ちます。 これを「オナーの権利」と言います。
打順を間違えてもペナルティはありませんが、オナーの準備ができる前に打ってしまうのはマナー違反です。 ただし、近年はプレーファスト(プレーを迅速に進めること)の観点から、オナーの準備が遅れている場合は、準備ができた人から打つ「レディーゴルフ」が推奨されることもあります。 その場の雰囲気や同伴者との合意の上で、柔軟に対応しましょう。
静かに待機し、視界に入らないように注意する
同伴者がティーショットを打つ際は、集中力を妨げないように配慮するのが最も重要なマナーです。
- おしゃべりをしない:プレーヤーがアドレス(ボールを打つための構え)に入ったら、物音を立てたり、会話をしたりするのは厳禁です。 コンビニの袋のガサガサという音なども意外と気になるものです。
- 視界に入らない位置に立つ:プレーヤーの正面や真後ろは避けるべきです。 特に真後ろは、スイングの軌道が気になるため、プレーヤーにプレッシャーを与えてしまいます。打つ人の斜め後ろ側など、視界に入らない場所で静かに待ちましょう。
- 影に注意する:特に午後の西日が強い時間帯は、自分の影が伸びてプレーヤーの視界に入ることがあります。ボールやパッティングライン上に影がかからないように、立ち位置に気を配りましょう。
素振りは打つ人から離れた場所で行う
自分の打順を待つ間に素振りをしたくなる気持ちは分かりますが、場所とタイミングには注意が必要です。
素振りの注意点
- ティーイングエリア内で素振りをしていいのは、自分の打順のプレーヤーだけです。 自分の番が来るまでは、エリアの外で待ちましょう。
- 前の組がまだティーイングエリアでプレーしている時に、その後方のバックティーなどで素振りをするのは「打ち込みを急かしている」と受け取られかねない重大なマナー違反です。
- 同伴者がショットを打っている最中の素振りもNGです。 集中を妨げるだけでなく、危険でもあります。
- 素振りをする際は、必ず周囲の安全を確認し、人がいない方向に向かって行いましょう。
プレーファストを心がける
ゴルフは、自分たちだけでなく、後続の組も同じコースをプレーしています。全体の流れを止めないように、迅速に行動する「プレーファスト」は、すべてのゴルファーに求められる最も大切なマナーです。
- 準備を早めに行う:自分の打順が近づいたら、使用するクラブを選び、ティーやボールをポケットに入れて準備しておきましょう。
- 打順が来たら速やかに:自分の番が来たら、2回程度の素振りで速やかにショットに移るのが理想です。ゴルフ規則では、自分の番になってから40秒以内に打つことが推奨されています。
- ボールの行方を全員で見る:同伴者が打ったボールがどこへ飛んだか、全員でしっかりと見てあげましょう。 「ナイスショット!」と声をかけたり、「右のラフです」と教えてあげたりする協力体制が、ボールを探す時間を短縮し、スムーズな進行につながります。
ティーイングエリアに関するよくある質問
ここでは、ゴルフ初心者がティーイングエリアで抱きがちな疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
自分の打順じゃないときはどこにいればいい?
同伴者がティーショットを打っている間は、そのプレーヤーの邪魔にならない場所で待機するのがマナーです。
基本的には、ティーイングエリアの外で、プレーヤーの視界に入らない斜め後方がベストなポジションです。 プレーヤーの真後ろや正面は絶対に避けましょう。カートが近くにある場合は、カート周辺で待つのも良い方法です。
重要なのは、プレーヤーの集中を妨げないことです。静かに待ち、素晴らしいショットには「ナイスショット!」と声をかけてあげましょう。また、打球の行方を全員で確認することも、スムーズなプレー進行のための大切な役割です。
ティーショットが空振りした場合はどうなる?
ティーショットでクラブがボールに当たらず、空振りしてしまった場合でも、「ボールを打つ意思があった」とみなされるため、1打としてカウントされます。
ただし、空振りによってボールがティーから落ちたとしても、そのボールがティーイングエリア内にあれば、ペナルティなしで再度ティーアップして2打目として打つことができます。 もしチョロ(ボールの上部を叩いてしまい、少ししか転がらないミス)をしてボールがティーイングエリアから出てしまった場合は、ボールはあるがままの状態で、2打目を打つことになります。
ディボット跡(芝が削れた跡)の修復は必要?
ティーイングエリアでは、通常アイアンやフェアウェイウッドでティーショットを打つ際に、地面の芝を削ってしまうことがあります。これを「ディボット跡」と呼びます。
グリーン上ではボールマーク(ボールが落下した跡)を直すのがマナーですが、ティーイングエリアのディボット跡については、必ずしもプレーヤー自身が修復する必要はありません。多くのゴルフ場では、ティーイングエリアに砂が入った「目土(めつち)箱」が用意されています。もしあれば、削れた箇所に砂を入れて軽くならしておくと、芝の再生を助ける親切な行為となります。
ただし、パー3のホールなどでは、ティーイングエリアが傷みやすいため、目土をすることが推奨される場合が多いです。ゴルフ場の慣習や、同伴者の行動を見て判断すると良いでしょう。何よりも、後からプレーする人が気持ちよく使えるように、コースを大切にする意識を持つことが重要です。
まとめ:ティーイングエリアを理解してスマートなプレーヤーに

今回は、ゴルフのスタート地点である「ティーイングエリア」について、その範囲やルール、そして大切なマナーを詳しく解説しました。
ティーイングエリアは、単にボールを打つ場所というだけでなく、そのホールのプレーを始めるための神聖な場所です。正しいルールを理解し、ペナルティを避けることはもちろん、同伴者への配慮を忘れず、プレーファストを心がけることで、誰もが気持ちよくゴルフを楽しむことができます。
この記事で紹介した知識を身につけ、自信を持ってティーショットに臨んでください。スマートな振る舞いは、あなたのゴルフをより一層楽しいものにしてくれるはずです。



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