ゴルフを始めたばかりの方や、久しぶりにコースに出る方の中には、「ゴルフのマナーって細かすぎてくだらない」と感じる方も多いのではないでしょうか。真夏なのにジャケット着用を求められたり、帽子を脱ぐタイミングを指摘されたりと、プレーの本質とは関係ないようなルールに戸惑うことは珍しくありません。
この記事では、なぜゴルフのマナーが「くだらない」と言われてしまうのか、その背景にある謎ルールを解説しながら、現代のゴルフで本当に守るべき大切なポイントを整理します。形式にとらわれすぎず、誰もが気持ちよくプレーを楽しむためのヒントとして参考にしてください。
ゴルフのマナーが「くだらない」と言われる3つの理由
ゴルフは「紳士淑女のスポーツ」と言われますが、その伝統ゆえに現代の感覚とはズレたルールが残っていることも事実です。多くの人が「これって本当に必要なの?」と疑問を抱く主な理由を見ていきましょう。
時代に合わない服装規定(ドレスコード)
最も多くのゴルファーが「くだらない」と感じるのが、厳格なドレスコードです。特に日本のゴルフ場では、真夏の猛暑日であっても「入退場時はジャケット着用」を義務付けているコースがあります。 スポーツを楽しむために来ているのに、まるでビジネスの商談のような格好を強いられることに違和感を覚える人は少なくありません。また、機能性の高いウェアが登場しているにもかかわらず、「襟なしはNG」「裾はズボンに入れる」といった形式的なルールが、若者や初心者にとって参入障壁となっています。
明文化されていない「暗黙のルール」の多さ
ゴルフにはルールブックに載っていない「不文律」が数多く存在します。「目上の人のプレーを褒めなければならない」「カートの座席順(上座・下座)を気にする」といった、日本特有の忖度(そんたく)文化が絡むマナーです。 これらはプレーの進行や安全とは無関係なことが多く、初心者にとっては「何が正解かわからない」というストレスの原因になります。この不明瞭さが、「面倒くさい」「くだらない」という感情を引き起こしています。
マナーを押し付ける「教え魔」の存在
マナーそのものよりも、それを過剰に指摘してくる同伴者や先輩ゴルファーの存在が、ゴルフを窮屈にしているケースもあります。 「昔はこうだった」という自分だけの基準を押し付けたり、プレー中に細かい作法について説教を始めたりする行為です。本来、マナーとは相手を不快にさせないための気遣いであるはずが、マナーを守らせることが目的化してしまい、結果として楽しいはずのゴルフがつまらないものになってしまうのです。
多くのゴルファーが疑問に思う「謎マナー」の実例

ここでは、実際にゴルフ場で遭遇することの多い、合理的とは言い難い「謎マナー」を具体的に紹介します。これらを知っておくと、「そういう風習があるんだな」と割り切って対応できるでしょう。
形式重視の服装や持ち物のルール
プレーの快適さよりも見た目を重視するルールは、多くの批判の対象となっています。
- 夏場のクラブハウス入場時のジャケット着用必須
- タオルを首に巻いたり、腰からぶら下げたりするの禁止
- クラブハウス内での帽子やサングラス着用の禁止
- 迷彩柄やカーゴパンツなど、カジュアルすぎるデザインの禁止
これらは「品位を保つ」という名目で残っていますが、海外のパブリックコースではTシャツや短パンでプレーできる場所も多く、日本独自のガラパゴス化したマナーと言える側面があります。
プレー中の過度な謝罪と挨拶
ティーショットでミスをして少し距離が出なかっただけでも「すみません!」と謝る光景をよく見かけます。また、同伴者が良いショットをしたときには、自分のプレーを中断してでも「ナイスショット!」と声をかけなければならないという空気感もあります。 もちろんコミュニケーションは大切ですが、過度な気遣いはプレーのテンポを悪くし、自分のゴルフに集中できない要因になります。「楽しむこと」よりも「失礼がないこと」が優先されすぎている例です。
カートや食事の席順などの上下関係
接待ゴルフの名残で、カートのどの位置に誰が座るか、昼食時の席はどこが上座か、といったビジネスマナーがゴルフ場に持ち込まれることがあります。 「運転は一番若手がするべき」「スコアカードは目下が書く」といった慣習は、純粋にスポーツを楽しみたい人にとっては不要なプレッシャーです。これらは仲間内のプライベートなラウンドであれば、まったく気にする必要のない「くだらない」慣習の代表例です。
カジュアル化が進む現代ゴルフの新しい価値観
「くだらない」と言われるような古いマナーがある一方で、ゴルフ界も少しずつ変化しています。時代に合わせて変わりつつある新しいゴルフのスタイルについて解説します。
ドレスコードの緩和と多様化
最近では、ジャケット着用不要を明言するゴルフ場や、「ゴルフウェアであればOK」とするカジュアルなコースが増えています。特に夏場は熱中症対策の観点からも、機能性を重視した服装が推奨される傾向にあります。 パーカーやジョガーパンツといった、以前ではマナー違反とされていたアイテムも、ゴルフブランドから次々と発売され、若い世代を中心に受け入れられています。形式よりも「スポーツとして楽しむ」スタイルが主流になりつつあります。
セルフプレーの普及と簡素化
かつてはキャディ付きのプレーが一般的でしたが、現在は自分たちでカートを運転し、ボールを探し、クラブを選ぶ「セルフプレー」が主流です。 これに伴い、過剰なサービスや形式的なやり取りが減り、自分たちのペースで気楽に回れるようになりました。面倒な気遣いが減ったことで、ゴルフを純粋なアクティビティとして捉える人が増えています。
アメリカンスタイルの浸透
海外、特にアメリカのゴルフスタイルがYouTubeやSNSを通じて広まり、「もっと自由に楽しんでいいんだ」という価値観が浸透してきました。 海外では音楽を聴きながらプレーしたり、ビールを飲みながらリラックスして回ったりすることが一般的です。日本の厳格なマナーと比較して、「安全と進行さえ守れば、あとは自由でいい」という合理的な考え方が支持を集めています。
それでも守るべき「本当に必要なマナー」

「くだらないマナー」は無視しても構いませんが、ゴルフをする上で絶対に守らなければならない「本質的なマナー」があります。これらは自分と他人の安全、そして全員が楽しむために不可欠なものです。
命に関わる「安全確認」と「声かけ」
ゴルフボールは硬く、当たれば大怪我や死亡事故につながる危険があります。これはマナー以前に安全管理の問題です。 前の組に打ち込まないこと、隣のホールにボールが飛んだら大声で「フォアー!」と叫ぶことは、絶対に省略してはいけません。また、他人が打つときは、決して前に出ず、打球事故が起きない位置に立つことは、どれだけ親しい間柄でも徹底すべきルールです。
全員の時間を守る「プレーファスト」
現代のゴルフで最も重要視されるのが「プレーファスト(素早くプレーすること)」です。ゴルフ場には多くの組が入っており、1組の遅れが全体の渋滞を招きます。 走る必要はありませんが、自分の番が来たらすぐに打てる準備をしておく、予備のボールをポケットに入れておく、クラブを数本持ってボールに向かうといった行動は、同伴者や後続組への最大のマナーです。形式的な挨拶や服装よりも、テキパキと動くことの方がよほど歓迎されます。
コースへの敬意「原状回復」
ゴルフ場というフィールドを共有する全員のために、コースを大切に扱うことも重要です。 打った跡(ディボット)に砂を入れる、バンカーの足跡をならす、グリーン上のボール落下跡(ピッチマーク)を直すといった行為です。これらは「来た時よりも綺麗にして帰る」という精神であり、次にプレーする人への思いやりです。くだらない形式ではなく、こうした実質的な行動ができる人こそが、真のグッドゴルファーと言えます。
「くだらないマナー」への賢い対処法
古い慣習と新しい価値観が混在する今のゴルフ界で、ストレスなく楽しむためにはどうすればよいのでしょうか。最後に、心の持ち方と具体的な対処法をお伝えします。
同伴者やゴルフ場に合わせた柔軟性を持つ
ゴルフは「誰と行くか」「どこに行くか」で求められるマナーが大きく変わります。会社の接待や名門コースに行く場合は、ある程度「郷に入っては郷に従う」の精神で、古いマナーもゲームの一部だと思って割り切るのが賢明です。 一方で、気心の知れた友人とのゴルフや、カジュアルなパブリックコースでは、堅苦しいルールを排除して思い切り楽しめば良いのです。TPOに合わせてキャラを使い分けるくらいの気持ちでいれば、ストレスを感じにくくなります。
本質的でない指摘は軽く受け流す
もしプレー中に、「カートの座り方が違う」や「タオルの掛け方がなってない」といった本質的でない指摘を受けたとしても、反論せずに「勉強になります」と軽く受け流しましょう。 いちいち気に病む必要はありません。指摘する側はそれが「親切」だと思っていることが多いので、表面的に感謝の意を示しておけばトラブルを避けられます。心の中では「安全と進行は守っているから大丈夫」と自信を持ってプレーを続けてください。
気の合う仲間との「プライベートゴルフ」を楽しむ
結局のところ、ゴルフを一番楽しむ方法は、価値観の合う仲間と行くことです。「くだらないマナーは無しにしよう」と最初に決めておけば、服装も会話も自由なスタイルで楽しめます。 最近では、SNSなどを通じて同じような価値観を持つゴルファーと繋がることも簡単になりました。古い慣習に縛られないコミュニティを見つけ、自分たちが心地よいと思うスタイルでゴルフを楽しむことが、長く続ける秘訣です。
まとめ:ゴルフの本質は「くだらない」ルールの外にある

ゴルフのマナーには、確かに現代の感覚では「くだらない」「謎だ」と感じられるものが多く残っています。しかし、それらに過剰に反応してゴルフ自体を嫌いになってしまうのは非常にもったいないことです。
大切なのは、「安全確保」「プレーファスト(迅速な進行)」「コースへの愛護」という3つの本質さえ守れていれば、その他の細かい形式はそれほど重要ではないと知ることです。
時代は確実にカジュアルで合理的な方向へと進んでいます。古いルールは適度に受け流しつつ、本当に大切な気遣いだけを身につけて、広大な自然の中でボールを打つ爽快感を存分に楽しんでください。



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